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<龍について三宅さんは語る・その1>
 

 はじめて身近に龍を意識したのはいつだったろう? 12年ほど前に今の住まいに引っ越す時、僕は一人の霊能者を紹介してもらった。友人のGFのお父さんのやっている超能力研究所の、研究題材になっていた人だ。少し思い切った引っ越しだったので、そこの地場に存在する霊的なものや、自分が何処から来て何処へ行くのか、五感を越えた力に確認してもらいかったのだ。

 彼はまるで見てきたばかりの話をするように、スラスラと迷いも無く何にでも答えてくれた。「その新居の周辺を守っている祠のようなものが見えるので行ってみますか?」と言われたので、半信半疑ながら車で出かけると、何とかつて富士信仰の本尊があったという立て札に行き当たった。「御霊はまだこの土地にあります」と彼は言うのだが、現在は目黒永河神社に本尊が移されたと書いてある。当時神奈川に住んでいて土地カンも無くロケハンした様子も無い彼が「それはこっちですね」と指差すので、そんな事が大好きな僕はさっそく行ってみる事にした。しばしあって一方通行の道に進入できずに迂回したところ、「ああぁわからなくなっちゃいました」と事も無げに彼が言うので「何だかけっこういい加減」と思いながらその日は解散した。翌日地図を手に入れて、その一通の道の延長線上を見てびっくり、目黒永河神社の字が光っていた! そんな事があって、僕は彼の言うことに一目置くようになったのだ。

 そして引っ越しの前日、彼が数日間の断食行をしながらしたためてくれた、護摩木なるものを焚く儀式をしていただくことになった。「高圧線に囲まれた磁場を開き、鬼門を封じ、開運を願うため」という目的だったと思う。読教とともに100本はあるかと思われる護摩木が、火災報知器を解除し、締め切った室内で次々とくべられてゆく。佳境にさしかかった頃、今まで白い静かな煙をあげていた炉の中の1本から、赤い芯のある黒煙がもうもうと出始めた。みるみる黒煙はとぐろを巻いて部屋中を占拠した。信心よりも呼吸環境を優先させた僕は、彼に窓を開けても良いかと確認して開けさせてもらった。すると黒煙はとぐろを巻いたままの形態で、生きているかのように戸外へ、そして上空へと立ち登って行くではないか! 護摩焚きの儀が終わった後、さっそくあれは何だったのか聞いてみると、「龍神が起きました。今後は上空を旋回して三宅さんを守ってくれます」「おぉー!」何だか千人力だ。良いことは信じた方が徳に決まってる・・・。

 それから僕は事ある毎に、龍型の徴(しるし)を見ることになった。飛行機の窓から見えたこともあって「あのー龍は僕についてくるんでしょうか?」と彼に聞いてみたら、「いえあの龍神は三宅さんのお宅の上で待ってます」なんだそうで、別の龍に色目を使ってしまった自分に反省。気をつけていると、水や滝や湖や、僕の好きなものの周りには、龍の伝説があふれている。今回は龍を誕生せしめるという一大事、さらに心技体の充実を目指したいと思う次第です。今ちょっと体は疲れてますが・・・。


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