dessin by Terapika

 純さんと出遭ったのはいつのことだったろう? と、さっき考えてみたら、それは1985年の秋のことでしたから、え、もう17年(2002現在)? 僕にとって、学校で得た友人達を除くと最も長いツキアイです。それも、僕のプロとしての画歴のスタート点からずっと見てくれている、貴重な友人、そのうえ、僕の絵画生活の節目節目で贅沢にも僕の絵たちのために音楽を実現してくれる、文字通りの「共犯者」。

 そうそう、思い出してきた、初めて出遭ったのは、1985年、秋の六本木インクスティック、三宅純さんのライヴステージの時。

 当時、僕はパルコの日本グラフィック展で大賞をもらったばかりで、急に新しい知人も増え、夜毎、西麻布や六本木界隈にくりだしては、飲んだり、騒いだりしていたのですが、その夜も誰かの誘いで、その時点では誰か知らなかった「三宅純」のライヴコンサートへ出かけてきたのでした。

 それが、クールで、狂ってて、ラフで、色や光がくるくるするようなカッコイイステージで、いやあ今夜も愉しいなあ、と思って、気付いたら何ゆえか、当の三宅純氏と一緒に飲んでたのでした。後で聞くと、僕と一緒にいたツレを知り合いと勘違いして僕達のテーブルに加わったとか・・・、運命ってオモシロイ。

 で、話してると、グラフィック展の僕の絵を見ててくれてたこともわかり感激。当時、僕はまだ会社勤めしていたので、会社の名刺をお渡しして別れたのです。

 普通ならそれでオワリのはずですが、しばらくしたある日、僕の勤め先に三宅さんから電話がかかってきました。「トランペットの三宅です、ちょっと計画してることがあるので、一度会いませんか」

 それからそれから、今にいたるまで、そしてきっとこれからも、僕達は会うと、なにやらいつも不思議なくらい、ステキな「計画」が湧き出して、それを実行していくのです。純さんとの長い年月には、エピソードがありすぎて、ここにはとうてい書ききれませんが、僕の「絵」は、どれだけ純さんに力づけられたことだろう。僕がまだ、なーんにもわかってなくて、ただ妄想だけを頼りに、絵と七転八倒してる最初から、純さんは、いつも、芸術の贅沢さ、グラマラス、を身をもって経験させてくれました。

 今、僕は本当に欲張りで、贅沢(「絵」に関してですよ)だと自負してますが、それは、三宅純さんから倣ったことだと思います。感謝しています。

 純さんとのコラボレーションの果実群の一部は、1998年、CD“angels rondo”としてお聴き頂けます(この下に紹介しています)。それ以降も純さんとは、あれやこれや計画進行中。節目節目でピタッとシンクロするのが不思議です。

 以前は住まいもずっとすぐ近所だったのですが、今は神戸と東京なので遠距離シンクロ。なんだかこの年末年始(2001-02)も話してみると、お互い大規模な転換期に入ってきたみたいな感じなので、そろそろ次の「遊び」も始動開始か?


「angels rondo」
(TERAPIKA RECORDS)
近々このサイトで通信販売開始の予定

   

 十数年前、寺門君と偶然知り合ってから、それは偶然などでは無かったのだと思わせられるような体験を何度もすることになります。シンクロニシティーという言葉に尽きるのですが、うけている波動、啓示、それにまつわる反応や行動がいつも面白いように同期しているのを、折に触れて感じてきました。「えー嘘! いつからそうなの?」「やっぱり純さんもか!」の連続です。歌手の葛生千夏さんが、僕達3人が前世では兄弟であり、神話スペクタクル的な冒険を繰り広げるストーリーを思いつき、数十枚にわたってファックスしてきてくれた事などもあって、その同期もごく超自然的に日常化していきました。ある時期は寺門君が僕の住まいを次々と引き継いでくれたり、喘息がひどくなって同居できなくなってしまった愛猫のK(彼の作品でお馴染みの)を快く引き取ってくれたり、実在する環境まで同期していたこともあったのですが、彼は引き寄せられるように神戸に移り住み、震災も経験します(Kも!)。彼が震災から受けた刻印は僕の中にも大きな波紋と余韻を残しました。その後、僕達のシンクロニシティーは同時多発ゲリラとして、それぞれの周囲を染めていくことになったのですが、そんな中で天使にまつわる作品群も時期を同じくして興味を抱き、製作してきたものです。この中の数曲は後日、僕自身の作品の重要なモチーフになりました。

 寺門君はいつも無垢な好奇心を持って、感じるもの全てに心を開いている素敵な人です。角度の付いた行き方をしてきた僕と居ると、心の平和を乱しはしないかと心配になるほどです。天使たちが実像として彼の部屋に降り立つのも不思議ではありません。彼と共作する時には、僕自身の屈折率を付着させすぎぬように気を使ってみるのですが、「うわー純さんすげー!」という一声が聞きたくて、やはり少し地が出てしまいます・・・ううう。

 これまでの作品群がこういう形で発表されることになって、製作当時は何の関連性もなかった曲たちが一つの世界を作っていくのに驚きを覚えます。寺門君、ありがとう、僕はとても嬉しい。

三宅 純

   

 ここに収められた12の音楽は、僕の絵画生活の節目節目で、例えば大規模な個展会場に流れるテーマ曲として、あるいは僕の絵を構成演出した映像作品のサウンドトラックとして、三宅純さんにお願いして実現していただいたものです。それぞれの楽曲が僕の魂の複雑な形状のひだのひとつひとつに、あまりにも自然に、漏れなくエネルギーを吹き注いでくれるので、つい、あたりまえのように思ってしまうけれど、こんなことありえないような贅沢な奇跡です。ぼくの見たい、描きたい光景を、いつも音楽で見せてくれる三宅純さんに感謝するとともに、ぜひこれらの音楽たちをひろく、たくさんの人々に聞いて欲しいと思います。これらの音楽たちは、それぞれが生まれたシチュエーションを飛び越えて、聴く人に、真新しい、ぴかぴかの光を伝えてくれることでしょう。

 よろこびますように たのしみますように

絵と光 てらぴか 寺門孝之

   
「angels rondo」 インナーより抜粋

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