« 謹賀新年 | Today's Terapika トップ | 寺門孝之新春絵画展『日の出〇船出』 »

2013年01月03日

▼ 2013今年の一文字「客」 ▼

客の一文字

改めまして明けましておめでとうございます。
毎年、新年の個人的な目当て、課題といった意味合いで今年の一文字を書き初めしているのですが、2013年はこの一文字です。

「客」

もう三十年近く絵を描いてきましたし、自分でも僕は「主観」中心で我侭に生きて来たと思うのですが、数年前から大学で若い方達に教える機会を頂いたことの影響もあるのか、自分がやってきたこと、自分の判断や行動の傾向などについて少しだけですが「客観」するようになりました。今年はこの「客」観をさらに強めて行きたいと思いました。自分の思い付きや、欲望や、希求を、自分を突き放して遠くから眺めつつ、それでも強く推し進めて生きたいと思います。

それから、「千客万来」・・・僕の絵を、ひとりでもたくさんの方に見て頂きたい、目に、ココロに留めていただきたい、とも改めて思います。絵は、観てくださる方、御客様あってのものだと僕は思って描いています。どこかにこの絵を欲する人が、他者がいるから僕を通して絵が現われるのだとも。御客様をもてなすココロモチで絵を描いていきたいと思います。

白川静先生によれば、「客」とは「廟の中に降下し格たる(いたる)神で、他から迎えた神(客神)」だそうだ。わがくにでは「客」とは「まろうど」(異族の神)をいったとのこと。そうそう、そのことは年末の絵話塾の際に生徒さんの一人が「なぜ七福神、宝船を描くのですか?」と尋ねられたときに僕が答えた内容と全く一致します。わがくには大きな海流に挟まれた島国であるせいか、よきもの は常に外から、流れ着く とされてきた。どこからか漂流して現われる見知らぬ者、モノを「まれびと」として敬い、神とあがめてきました。その心情傾向は今でもかわっていないように思われます。
僕は自分の絵が自分の力で、自分の考えで描いているとは強く思わないでいます。絵は、絵のアイデアは、常に外から僕に訪れる。次から次へとやってくる宝船のように。
僕のメインモティフ「天使」は垂直系の、「宝船」は水平系の「まろうど」といえるだろうか。ただし、「天使」も西欧からもたらされたという意味では、水平線のむこうからやってきた福神のひとりなのかもしれない。サンタやガガ様と同様に。

かつての紅白歌合戦では三波春夫が最後に現われて「お客様は神様です」と言っていたけれど、まさしく「客」とは「神様」のことだったとは!

そんなこんなの思いをこめて、今年は「客」の字を胸・腹に刻みつつ、絵を描いていきたいと思いました。

トラックバックURL

▼ このエントリーのトラックバックURL:
http://www.terapika.com/files/blog_files/mt-tb.cgi/694

コメントする

(コメントはウェブマスターの承認後に公開されます。承認されるまでコメントは表示されませんので、しばらくお待ち下さい。)