▼ A TRIBUTE TO PENGUIN CAFE @Coolie's Creek(白金高輪) ▼
この秋、連続してお世話になる外苑前・キラー通りのタンバリンギャラリーの高橋キンタローさんに誘っていただき、まずは“Tambourin Gallery presents A TRIBUTE TO PENGUIN CAFE”という展覧会に参加させていただいている。1970年代半ばにSimon Jeffesが中心となって誕生したPenguin Cafe Orchestraの音楽と、ペンギンとペンギン頭の人間が描かれた不思議なジャケットはたちまち僕を虜にし、最初のアルバム「MUSIC FROM THE PENGUIN CAFE」は発売当初からの大の愛聴盤で、LPからCDに持ち替えた今もしょっちゅう画室で静かに鳴っている。なぜか当時はペンギンがクールで、メディアのそちこちにペンギンが登場していた。1981年の「PENGUIN CAFE ORCHESTRA」も好きだが、いちばんはこの1stの方だ。そして1stの中でいちばんのお気に入りは9曲目に当たる“THE SOUND OF SOMEONE YOU LOVE WHO’S GOING AWAY AND IT DOESN’T MATTER”というタイトルも演奏時間もここちよく長いギターを中心とした楽曲だ。
親しい友人が所属していたことから当時、早稲田大学の劇研関連の芝居をかなり頻繁に観ていた。なかでもその斬新な若々しい演出で頭角を現して来ていた第三舞台の公演は特に楽しみだった。とても光って見える特別な役者がいたのだった。濃い個性の凄い役者が次々と登場する当時の第三舞台の中で彼は他の誰とも似ていなくて、その頃の小劇場では見たことの無いニュアンスがあった。ナイーブで鋭くて、手足が細長くて、華奢で、透明で、顔が小さくて、冷たくて、切実だった。そんな彼が舞台でふっと踊りだすと、切なくてぞっとしたものだった。彼の出ていたどれかの芝居で、劇が中断して、幕間のような時間がおとずれる。その役者は、ふっとそれまで演じていた役を降りて、舞台のパイプ椅子かなにかに腰掛けて煙草をふかす。目の前の観客に「どこから来ました?」なんて問いかけたりしながら、煙草一本分の時間、観客の目前で悠々と休憩して魅せた。その時に流れたのが、この“THE SOUND OF SOMEONE YOU LOVE WHO’S GOING AWAY AND IT DOESN’T MATTER”だった。それがどんな筋書きの芝居だったか、タイトルさえ忘れてしまったが、大笑いしながらもずっと緊張を強いられるスピードのある劇の合い間にふと、湧き水のように静かに溢れ出したPENGUIN CAFEの音楽と、煙草一本分のその役者の風情が、いまでも忘れられないでいる。その後まもなく彼はオートバイの事故で早逝してしまい、僕は第三舞台の劇を観にいかなくなった。PENGUIN CAFEのSimon Jeffesも1997年に48才で亡くなった。いまは息子が後をついでPENGUIN CAFE ORCHESTRAはつづいているとのこと、素晴らしいことだ。ずいぶんと時間を経て今、PENGUIN CAFEへ絵を描く機会がやってきたことに感謝しています。ぜひ、覗きにいらしてください。参加者皆の、なにかしら想いが詰まった展覧会になっていることでしょう。10月…PENGUIN CAFE ORCHESTRAの奏でる音楽にはうってつけの10月。
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タンバリンズ・ギャラリー Presents 【A TRIBUTE TO PENGUIN CAFE】
2012年10月1日(月)~11月3日(土)
ペンギン・カフェ・オーケストラの来日にあたって各界のビジュアル・アーティストがジャンルを超えて緊急参集。
アーティストたちの「ペンギン・カフェ トリビュート」展が「Coolie's Creek」にて、開催されます。
Artists/姉川たく、新井夏希、安斎肇、飯田淳、井口真吾、伊藤桂司、石田昌隆、影山徹、川上尚見、
河村康輔、北村佳奈、黒田潔、サイトウユウスケ、佐藤直樹(ASYL)、ジョージ安藤、白根ゆたんぽ、
信藤三雄、鈴木直之(Tycoon Graphics)、高橋キンタロー、寺門孝之、寺田克也、中山ダイスケ、永井博、
那須慶子、坂東慶一、氷見こずえ、ヒロ杉山、真舘嘉浩、三浦憲治、水野健一郎、ミック・イタヤ、
宮師雄一(Tycoon Graphics)、矢吹申彦、山本ムーグ
会場:Coolie's Creek
〒108-0078 東京都港区白金1-2-6
tel/03-6459-3313 fax/03-6459-3314
http://cooliescreek.jugem.jp/
営業時間:月~金 LUNCH 11:30~14:30 ( FOOD L.O. )
土 BLUNCH 12:00~15:00(FOOD L.O.)
月~金 DINNER 18:00~23:00 (FOOD L.O.)
土 DINNER 17:30~23:00(FOOD L.O.)
23:30 ( DRINKL.O.) 24:00(CLOSE)
定休日:日曜日
※レストラン・バーですのでドリンクまたはフードを要オーダー。
http://tambourin-gallery.com/tg/2012/09/a-tribute-to-penguin-cafe.html