▼ ハート ▼
会期二日目のこと。会場にお母さんといっしょに見知らぬ姉妹らしい女の子たちが入って来て、熱心に絵を見てくれていた。上が小学校2年生くらいだろうか? その上の子がまっすぐに僕を見上げて「質問があります、どうして天使たちは手にハートを持っているんですか?」
考えたことがなかったので一瞬、逡巡するが考えるより速く口が答える「だれかに、あげるためじゃないかな」
女の子はびっくりしたような大きな目をして僕を見詰めたままだまってる。
「大丈夫、いくらあげたって、ここ(自分の胸を叩き)のハートはなくなんないし、減りもしないから」と言葉を足すと、安心したのか女の子はニカッと微笑んでピカっと輝いた。全部の絵をぢっくり見終えるとわざわざ「ありがとうございました」と言いに来る。
「絵、描くの好き?」
「大好き」
「どんどん描いてね!」
瞳をきらっと光らせて、両の掌を僕に差し上げてくる。
パチン!とハイタッチして、バイバイ!
ハートの天使。