▼ 堀内誠一「旅と絵本とデザインと」展 写楽「幻の肉筆画」展 ▼
会期が終了してしまうので慌ててお絵描きの隙間画室を飛び出し、5日は世田谷文学館へ堀内誠一「旅と絵本とデザイン」展を見に。懐かしい、お世話になった本・雑誌たちがいっぱいあった。絵本やマガジンハウスの印象が強かったが、10代の頃大好きで影響大だった沢渡朔「少女アリス」以下何冊かの写真集や、種村季弘「薔薇十字の魔法」なども堀内誠一氏の装丁だったのかといまさらながらに。薔薇十字の函の文字が憧れだった。
翌6日も諦めかけてた写楽の幻の肉筆画展、絵がはかどったので慌てて両国・江戸東京博物館まで見に。最終日なので覚悟してたが思いの外空いていてしっかり見学できた。目玉の写楽肉筆という扇面、うむ、と見詰めたが以前他のコレクションで見た役者大首版画ほどのオウラが無い。色色見て回っている北斎の肉筆は、物凄いオウラがある。写楽の有名な大首版画には北斎級の天才を感じる。僕は専門家でないから、単なる直感妄想でしかないが、大首の写楽と、後のシリーズの全身像の写楽は同一人物と思えない。今回の扇の絵に付けられた「五代目松本幸四郎」の文字も「四代目」の間違いとされているが、果たして故意ではないのだろうか? あいかわらず謎深い画家である。今回のコレクションの他の写楽大首は刷りがよくなくて、見栄えしなかった。菊川英山が美しかった。浮世絵ではないが、狩野山楽の牧馬図屏風が見応え充分。博物館の第2企画展示「ねこ特集」がとってもおもしろい。博物館から出るエスカレーターのトンネルがまるでタイムトンネルのようで、外に出るとお江戸から現代の東京へ迷い込んだ気がするのが洒落た演出だ。