▼ 4・18 北斎忌 ▼
4月18日、久し振りに北斎忌に参加させていただいた。18年前、だと思うが、一度だけ参加させていただいて以来、毎年欠かさずお知らせをいただいていたのだが、どうしたことか、展覧会か神戸日程と重なり縁遠かった。今年はちょうど土曜日でぽっかりと日程が空いた。場所は、元浅草・誓教寺。北斎の墓碑がある。今年は北斎没160周年忌とのことだ。
ひっそりとしたお寺の様子は18年前のまま、広間でお茶と江戸前の桜餅がふるまわれるのもそのまま。北斎漫画の原本も手にとって見られるのも嬉しいことにそのまま。そして何より北斎最晩年90歳作「骸骨」の掛け軸も床の間に掛けられ間近に拝めるのもそのままだった。ゆっくり拝むのは後のおたのしみとして、2時の法要が始まるので本堂へ。既にたくさんの人が集まっている。補助席が用意され、なんと第一列の中央に座ることになってしまった。えへへ。お経の間、全員順番に焼香させていただく。前のときにも思ったものだが、すっかり北斎の親戚縁者になった気分になる。北斎の子孫が特におられないためこのように慕う者が誰でも法要に参加できるとのことで、ありがたい限りだ。住職さんのお話では、参列者の方のおばあさまはこのお寺に参る晩年の北斎自身を何度も見かけたことがある、とのこと。160年そこそこという時間が一気に筒となり、北斎の居る時空へと繋がってしまう。そう、ここ、この場所に北斎もいたんだ~! 法要の後、160年忌を記念して落語会となった。前座の若手さん入船亭遊一さんの色っぽいお妾さん噺の後、入船亭扇橋師匠登場。壁に掛かっている北斎像レリ-フになんだかよく似た渋い面長。延々2時間くらい、枕というのかよもやま話をぐるりぐるぐるし、噺をせぬままにお時間! しかし渋く、時としてつやめくその声色、藍色でときとして銀に輝く師匠の瞳、そして計算されてるのか3つ4つの綺麗な絵皿を粉々に砕いたカケラを順番に並べていくような不思議な話法に、すっかり僕は飲み込まれ(最前列だったしな)、後半はほとんど僕に話してくれているような幻覚を覚え、すっかりファンになってしまった。目の前に北斎がいるような気がした。落語?が終わって、広間に戻り、北斎漫画をゆっくりめくり、床の間の「骸骨」と正座対面。九十老人卍 のサインが余りにカッコイイ。前回に来たときには北斎研究の長老先生にこの絵について自分の意見を述べたりして、ああ、若気の至り・・・老先生は今は北斎サイドへ行かれているはず。外に出て、墓碑を詣でる。「画狂老人卍墓」とある。かっこよ過ぎ!側面には辞世の句。「飛登魂(ひとだま)で ゆくきさんじや 夏の原 行年九十」 ああ、かっこよ過ぎる~!!!