▼ ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団公演『フルムーン』 ▼
盟友AD=大久保裕文さんに強く勧められピナ・バウシュ公演『フルムーン』を新宿文化センター大ホールで観た。がちょぴーん! 大感激。こんな普通のホールで延々と大雨、楽市楽座もびっくりするほどの雨量だ。ステージに雨が降り川が流れ、ダンサー達は水の重さ、軌跡さえも使い切って踊り続ける。あり得ない光景、室内で美しく静かに降り続ける大量の雨、余りの雨量のクレイジーさに驚喜し、笑いがふつふつと沸き起こってきた。いくつかのシーンにパリへ渡った畏友=三宅純さんの音楽が流れ、シーンの美しさが僕にとっていっそう身近に感じられ嬉しい。嬉しくなって終演後は立って拍手。夢の緒を引いたまま外へ出ると、会場へ入るまで激しく降っていた本当の雨は、ピナの嘘の雨に気圧されすっかり止んでいた。帰り道、立ち寄った花園神社で妖しくサクラが白く輝いていた。嘘の雨が空中で結晶化しぴたりと止まったかのよう。美しい夜だった。