Today's Terapika寺門孝之です。

Back Number 20051102

 
 2∞5年11月になってもた、それも2日、木曜、東京は好天也。夜にはすっかり寒くなる。

 一昨日=10月31日の夜、“新宿御苑・森の薪能”へ出掛けてきました。ちょっと早めに着いたつもりでしたがもう何千もの人が舞台を取り囲むなだらかなすり鉢状の広場の芝生に陣取っていて、私はほとんど舞台上の人物などマッチ棒くらいのはるか後方に小さなビニルシートを敷いて鑑賞。

 目当ては「翁」・・・これは中沢新一著「精霊の王」はじめ色色な本で最近“翁”について読み、また私自身の絵にもこのところ“翁”(かな?)が登場してきていて、興味が湧き起こっていたため、ナマで見てみたかった演目でした。

 「能にして能にあらず」と古来よりいわれてきた演目で、詞章・音楽構成・面・装束も他と異なる古風を現代に伝える・・・とパンフレットにある。遠くてよく見えなかったが、音楽はかなりのかっこよさで、太夫の謡は出だし「とうとうたらりたらりら たらりあがりららりとう」と言ってるらしい。なにの呪文か?

 “翁”は・・・色色な本を読み重ねていくと、浦島太郎、海幸山幸、神宮皇后、武内宿禰、聖徳太子、秦河勝、住吉神、隼人族(ということは竹取物語とも?)・・・などと深く関わるイメージで、「千と千尋の神隠し」の油屋のふろで汚れを落としたのも翁面を被っていたっけ。

 「翁」が済むと、狂言「三本柱」。これは知らなかったがなかなかの面白さ。3本の柱を3人の冠者に運ぶように主が言いつけるのだが、その際、一人が2本ずつ持てと注文する。で、3人が手に手に1本ずつ持って正三角形につながって運ぶことを思いついて解決。舞台の真上から見たくなる演目だ。

 しかし面白い構想! 「えいっ」「えいっ」というとぼけた掛け声がほのぼのしてて笑える。

 ラストは、これも目当てにしてきた「羽衣」。ご存知天女の羽衣伝説を題材にしたものだが、能では羽衣を返す代償に漁師が天女に所望したのは「月世界の舞」を舞うこと。

 天女の舞のシーンは遠くからでも呆然とするほど宇宙的で美しかった。キンピカの頭飾りが薪の炎を映してギラギラして、ストンとしたプラチナ的に光る衣装と合って宇宙人のように見える。動きも宇宙的。 天女に呆然と見蕩れるうちに寒さで身体は冷え切ってしまったが、冷えた感じと月世界の天女のイメージはぴったりで満足した。

 聞くところによると、今回の演目は3年雨で中止されてようやく今年実現したそうだ。「竹取物語」のことも追っかけている私にとって絶妙のタイミングで見る事が出来、天の采配に感謝感謝。

 この一週間、芸能づいて、東京ヴォードヴィルショー、唐組 も観る事ができた。それについてはまた書きます。東京国際映画祭で見せていただいた映画『ゲルマニウムの夜』のことはこの下に書きました。

 さて、明日は大阪、ギャルリムスタシュで開催していただいていた「テラカド☆オペラ」展、最終日。駆けつけます。ギャルリムスタシュでお目にかかりましょう。(14:00〜19:00)

toptop
contentscontents