2∞∞5年1月17日。合掌。
今朝は晴れ間の天井からなごなごと細かい粒の雨が降りて来て、それが夕方まで途切れ途切れに続いていた。雨は、一月にしては冷たくはなく、むしろ温かなここちよさがあった。
「あったけえ雨だ」
ずいぶんと前に観た楽市楽座の芝居の終盤で先代のエンドンがふっと天を仰いでつぶやいた科白を思い出した。どんな芝居だったか忘れているのだが、その科白、その刹那のニュアンスばかりが妙に胸に染みて、以来ココロひそかにそのリフレインを温めている。今日の神戸の雨はそんなふうな雨だった。
あったけえ・・・
「慈雨」という言葉を想い出した。10年前の今日は寒かった。小雪がチラツイテイタ。ビルは倒れ、道は割れ、ところどころの建物が火を噴いていた。そんなことを想い出しながら、温かな雨をかぶりながら、ひさしぶりに神戸の馴染みの界隈をほっつき歩いた。
僕は見なかったが、今日たくさん虹が立ったらしい。それも、根元だけが見えてその先は空に透けて見えなかったらしい。大自然はときに凄まじく、ときにやさしい。10年前、この足の下から怪獣の呻き声のような音が
轟いていたのだった。
10年か・・・
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