Today's Terapika寺門孝之です。

Back Number 20040920

 

 2∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞∞4年9月20日は、僕のこれまでの日々の中でも金メダル級のたのしさでした。今日得たことは、僕の未来のいしづえです。色色・・・あってとてもここでうまく書き記すことはできないのですが、ひとつだけ、書いておきます。想像力について。

 今日はカロ・ブックショップアンドカフェでギャラリートークをさせていただきました。カロでの展示は“AXtheMOONLIGHT”というタイトルで、“行き先のわからない絵本の原画展”というふれこみでした。

 「行き先のわからない絵本」・・・というのは、出版が決まっているわけでもない絵本、ということと物語の行方がまだわからないままに描いている絵本、という意味です。

 もちろん、僕はその絵本の絵を描くにあたって、僕自身が思い付いた物語を念頭に描き進めています。その物語はかれこれ10年前くらいから思い付き、ずっと推敲を重ねているものです。

 けれども今回思うところあって、絵だけを発表し、物語については何も知らせない、という展示にしてみました。絵として次から次へ浮かんでくるシーンをどうしても一流れの物語にまとめられなくなった、というかまとめたくなくなった、物語をひとつに僕が決めてしまうことの必要を感じなくなってしまったのです。

 僕の中で、じっくりじっくり、長い年月の思い付きの堆積から生まれた物語のシーンの絵から、ひとはどんな物語を想像してくれるのか? 絵を見るひとが思い思いに物語を語ることができるような絵本はできないものだろうか? そんな気持をこめた展覧会にしてみました。

 そうして初日の今日のトークの冒頭で、集まってくださった皆さんのひとりひとりに、6枚のシリーズの絵を見てそれがどんな物語なのか自由に想像して語ってもらうことにしました。

 するとすると、、、もう、僕の想像を超えて皆さん、どんどんすごい物語を語ってくれるではありませんか! それも、ひとりひとり、へえ〜って感心してしまうようなふか〜い物語なのです。ひとりが語るたんびに、ほお〜っという感嘆の息が皆から漏れました。

 実は僕は、皆さんの物語をうかがったあとに、僕はこんな物語としてこの絵を描いたのだと、発表するつもりでいたのですが、もうそんな必要はなにもなくなってしまいました。そんなことをしては絵の可能性を切ってしまうことがわかりました。

 カロはブックショップですが、その場が集まってくださったみんなの想像力によって「行く先のわからない絵本」そのものとなったのです。みなさんひとりひとりの想像力はなんて豊かですばらしく、そして互いに違っていることでしょう! 僕はこの「遊び」にしばらく熱中しそうです。

 絵と物語、想像力の吹き荒れる場所は、僕がひとり絵を描いているココロの中だけでなく、みなさんとこのように共有できる場所でもあったことに、僕は心底歓びを感じました。すばらしい物語を語ってくれたみなさん、ならびに発表はしなくてもココロに物語をつくってくれたみなさん、ありがとうございました。また、やりませんか?

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