２∽４年７月１６日、金曜、晴れ。

　昨晩遅くまでかかってこのところずっと並行して描いてきた９月の“ＤＡＲＫＳＰＬＡＳＨ”の４つの展覧会のための最初の絵をそれぞれ仕上げる。

　面白いもので、描き方自体は同じなのだが、主題と展示予定の会場ごとに沸き立つ感情が違ってくる。「闇の妹サイレンス」を描くときが最も懐かしいような自分のココロの秘密の場所へ下りて行くような、なにが起こってもおかしくないようなドキドキするような感情で、かつ、しん、と静か。会場となるアウラクロスの地下の秘密めいた小部屋へ下りていく気分。

　同じモデルに取材して描いていても「斧の夢」の方は物語の展開に気持がいき、ヒロインもやや抽象化され、子供化していく。会場のカロのなんともちょうどよい感じの長さの白い壁と窓からの淡い光に照らされる書棚に想いを馳せる。

　「アルパカ・シネマ・ドリーマー」はまずその双頭のアルパカ＝映画「ドリトル先生不思議な旅」に登場するPushmi-Pullyを描いてみたが、自分のココロの中心というよりは周縁の「おたのしみ」の部分が刺激されただただ愉しい。会場のコンテンツ・レーベル・カフェのおしゃれだけど気取ってないおたのしみ会的なスペースがココロをうきうきさせる。

　そして「unaの森」ではモデルが人形なのだが、これは今までになかったような体験。かわいいと思うものを描いてどれだけ似せられるか。ペットの絵とか描く人の気持ちがわかったような。不思議な気分で描いているがかなりかわいい。会場となるプリティ・パワーは人形のショップで、これまた僕にとって異文化との遭遇だ。とにかくかわいいフェロモンの追求。

　・・・と、こんな具合。

　今日の午前中に仕上がり、午後にはいつも絵の写真をお願いしているアトリエ・ミストラルの中島さんに来ていただいてさっそく写真を撮っていただく。これでいよいよ宣伝用フライヤーが作れるぞ。

　しかしこれからかなりのハイペースで描いていかなくては。常にココロは４つの会場へ４つのベクトル向けて、４点ずつ並行して進めていこう。公平に。（Ｐu！）