Today's Terapika寺門孝之です。

Back Number 20040525

 

 2ΘΘ4年5月25日、火曜、好天。

 夕方になまぬるい風がゆらりと動く中を歩いていると、熱帯魚かなにかになったようななまめかしい気分。鮮やかな柄のひらひらした服を着て無防備な感じで歩いてみたくなり、自分がそんな服の似合う女だったらよかったな〜と気味悪い想いがよぎる。

 仲良しの周防義和氏が音楽を担当しているしと思い、映画『死に花』を観て来た。まったく予備知識がなかったがいきなり前半の藤岡琢也にやられてなんども落涙。中盤から一転ダイナミックなぐいぐいの展開になるがラストでなんともいえぬ不思議なところへ連れて行かれ落涙。青島幸雄、谷啓の姿・顔かたちを見ているだけで幸せな気持になってきて渋味満開。

 周防さんの音楽はまさにぴったりでカットのつながりや演出と有機的に繋がっていて下手すると荒唐無稽で壊れてしまいそうになりそうなファンタスティックなシークエンスの数々を、そこにまるで小津映画の中のような日常的な時間が流れているかのように淡々と繋ぎとめて映画を成立させてしまっていて職人芸。

 以下、昨週末の記憶のつづき。

 カラスに襲われた後、鎌倉駅裏の古書店を物色したりしてココロ鎮め、午後は鎌倉にお住まいの舞踊史家=芳賀直子氏登場、色色な店舗やお屋敷町の裏道などを解説つきで案内いただく。

甘縄神社、御霊神社、あじさい寺、星の井などを巡り、最後は由比ガ浜に出る。サーファーたちがぷかりと浮いて並んで波を待つ小雨のかかる灰色の海とその上のやはりうすい灰色の空をぽかんと眺め、鎌倉を後にした。

 その前日は横浜で夢で見た光景と出遭ったのでそれについて。

 5月22日の土曜日、午後から東横線〜初めてみなとみらい線に乗り入れて元町・中華街駅で下車。僕はこれまでに横浜へほとんど来たことが無く、今回は山手・元町をやみくもに散策するのが目当て。

 で、歩き回ることしきり、坂を上ったり下りたり、トンネルをくぐったり、階段を上がったり、まるで立体迷路のようなその辺りを巡っているうちにふと、眼下にスイミングプールが見え、なんだか懐かしい気分になって降りていくと、レンガ作りの小さな建物があって「ジェラール水屋敷」と記されていた。

 ジェラール水屋敷?・・・なんとも夢っぽい建物だなあとそれを眺め、ふっと振り返るとさらに眼下に小さなひっそりとした佇まいの西洋式庭園とそのむこうにひしめく大小の家・ビルなどが浮かび、この風景をこの年頭に夢で見ていたことをはっきりと思い出した。

 夢ではそれを神戸の実家のあるジェームス山のふもとの谷間の町の風景だと思っていたのだが、横浜・山手に実際にある風景だったとは。さらにぐるぐる歩いた後、松本小銀杏君、ハッシー橋本君と落ち合い、はしご酒。

 その前日、5月21日、金曜は朝8:38ののぞみに斧をかついで乗り上京、初めて品川駅下車。これは便利、行く先によっては30分以上持ち時間が増える。まずは闇の妹モデルの前田昌代さんと新しいシリーズのセッション。斧と宝石箱がメインの小道具(もちろん斧は僕の手作りの紙製品ですよ)。

その後、この旅のメイン・イベントである、「出版300万部突破記念江原啓之バリトンリサイタル」@銀座・王子ホールへ。その日に出版される上掲の江原氏の著書『スピリチュアル夢百科』の装画・挿画を描かせていただいたため版元=主婦と生活社に招待いただいたのです。

 そんな記念の晴れやかなイベントに参加できるのは光栄だし、江原さんと再会できるかもしれないのでとってもわくわくしていたのですが、正直言ってリサイタルはそれほど期待してはいませんでした。

 ところがところが、江原さんのリサイタルはとっても素晴らしかったのでした。ほとんどMCもなくただただ曲を歌い上げていくシンプルで厳しい構成、朗々として甘味のある美声、そして次第に滲み出してくる愉快な人柄とサービス精神、曲目ごとにまるでその役が乗り移ったかのように世界に入り込んでいく江原さんの歌は本などで知っているスピリチュアルの世界と切り離しても充分愉しくどきどきするエンターテインメントでした。

 そして江原さんの真摯で謙虚な姿勢にココロ打たれました。

 その後、階下のロビーで記念パーティがありそちらも参加させていただきました。江原さんと親しい著名な方々もぞろぞろいらして華やかな会場でした。江原さんの著書の各版元の社長や担当編集者、TV番組の担当の方などが次々と舞台挨拶をされたのですが、なんと僕までが江原さんの機転で突如舞台に上げられスピーチすることになり大汗。

 不思議なことに、会場には僕がこれまでにお世話になった編集者の方がたくさんおられ、皆さんいまは江原さんの担当をされているとのこと。江原さんの本には繰り返し「偶然というものはない」と書かれていますが、本当に「縁」というものの滋味妙味を感じさせられるパーティでした。

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