Today's Terapika寺門孝之です。

Back Number 20040320

 

 昨秋、初めて北海道へ行ったり、毎日アイヌの昔話を読んだり、OKIや安東ウメ子のCDを聞いたりして、ココロが北へ北へ飛んで行っていたころ、札幌に住むKURODAという方から突然メールをいただきました。

 KURODAさんはmoofというチームでunaという人形を作っておられ、その人形の絵を僕に描いて欲しいという内容のメールでした。彼等の作っているHPを訪ねてみると、とってもかわいいけれどどこか複雑なニュアンスのある表情をした女の子(人形)が小さなリアルな馬(人形)と色色なところにいる小さな写真が載っていました。

 僕はその人形の不思議な表情が一度に好きになりました。それはちょっと「闇の妹」とも似ていたのです。

 HPにある「解説」によると「una」は身長24cmくらいの人間の女の子によくにた生き物で全世界に点在しているそうです。一箇所に1週間〜10日しか棲む事ができず小さな馬(uma)に乗って旅するそうです。1匹2匹と数えるそうです。文字を持たず、瞬間瞬間を生きている存在だということでした。

 間もなくアトリエに2匹のuna(正確にはunaとhuna1匹ずつ)と小さな馬2頭(匹?)が送られてきました。それらを僕の絵の前で撮ったのが上の写真です。

 先日、3月8日、KURODAさんは奥さんと僕のアトリエへ訪ねてきてくれました。神戸はその前の日から急に冷え込み珍しく雪がぼんぼん降ったりしたので、もしかしたらKURODAさんたちが北の空気を連れてきたのかも?なんて思いました。

 KURODAさんは大きな目に鋭くて静かな眼差しをたたえた朗らかで落着いた感じの青年に見え、小柄で妖精のような不思議な風情の奥さんはunaの実際の産みの親ということでした。

 ある時奥さんは人形を作ることを思い立ちKURODAさんと相談しながらじっくりじっくり作業を進め、色色苦労して何年もかかって人形は実現し、出来上がったその形を見つめているうちに次第にunaを巡る物語が浮かんできているということでした。

 unaが誕生するまでのその話はつかみどころがどこかなく、たよりなげなのですが、でも確実に事態は進行していて、世界にunaのコレクターが広がってきているとのことでした。

 僕はKURODAさんご夫妻とunaや小さな馬の人形を見ながら、なにかまた「物語」が僕に宿ろうとして来はじめたのを感じました。どんなことになっていくのか、僕も、またKURODAさんたちご自身も今はまだわかっていないのですが、きっと僕は「una」の世界を絵にしていくだろうな〜描いてみたいな〜と思っているところです。

 興味を持たれた方はぜひ、unaのHPを覗いてみてください。unaの写真を見たり、いくつかの物語を読むことも出来ます。もちろん人形を買うこともできます。もっとも新商品が出来上がってもすぐに売り切れてしまうようですが。

 2∞4年3月20日・春分。

 僕はなんだか大きくて柔らかくて重いもので背後からづ〜んと殴り倒されたように睡魔に襲われて、一度アトリエへ向かおうとするも無理になり帰宅してベッドに入り、延々眠ってしまいました。

 僕を殴った大きな柔らかい重いモノとは、楽市楽座の劇、かもね。さ、明日は楽市楽座『道化と詩人』最終日=“DARKHALL”VOL.0もお終い。もう一度観に行く予定でいます。

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