「きれぎれ?」(2∞4年3月12日、早朝の夢)
僕と妻は並んで青空を仰いでいる。(まるで町田康氏の「きれぎれ」のためにかつて僕が描いた絵の様。)
空にはすーっと半透明の白い繊細な線がはいっていて、それはクリップのような形にひとひねり、細長い輪を天頂に描いている。
僕はそれを見つめているうちに、「そうか!わかった!」とココロの内で叫ぶ。空の線を見ながら僕には、以前に読んだ村上春樹氏の小説の世界の仕組みが、一度はずされた知恵の輪のピースがするっと再び繋がった時のように理解され、それをヒントに、この世界の仕組みについてとても重要なことがわかった!と思えた。
そうだったのか〜、僕はそれを今一度ココロの中で反芻し、横に居る妻に伝えようと、「今、すごいことわかったよ」と言うと、妻は「ちょっと待って、あたしも今わかったことあるけど先にたかちゃんのを聞くと忘れちゃう気がするから、先に言っていい?」と言う。僕は「いいよ、でもちょっと待って」と一瞬、僕の思い付きを忘れないようにもう一度ココロに反芻してから「どうぞ」と促す。
妻は青空の線を指差して「あの飛行機にKちゃん(妻の友人)の運命の人が乗っていることがわかった」と言った。目を凝らすと、空の線の先端…(いや、先端ではなくてクリップ状の曲線の途中だった…)に小さなパール色に輝く飛行機が見え、ゆっくりと進んでいる。
それを見ながら僕は、ああ、そうかもしれないなあと納得する。
でも待てよ、Kちゃんは既に結婚しているし、運命の人と出会い一緒に暮らしているんじゃないかなあ、KちゃんではなくてSさん(妻の新しい友人)の運命の人のことではないかなあ?とも思う。
いや待てよ、Kちゃんから生まれてくる子供のことかもしれない、そうかそうか、ありうるな、としたらこれは僕が思いついたこの世の仕組みの考えにも一致しているな…などと僕が思いを巡らしていると、「何?すごいことって?」と妻が訊く。
僕は颯爽とこの世の仕組みについて思いついた考えを話そうとしたが、ココロに反芻したはずのその内容は既にきれいに消えてなくなっていた。
「あー忘れたー」
青い空には細くてうすい白い線がはいっていて、それがくるっとねじれたクリップ状の輪の途中で、パール色に光る飛行機はじわじわと少しずつ進んでいるようだった。
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これが今朝の夢。
絵を描く合間に確定申告作業。なんとか仕上げて税務署へ。その脚で区役所へも。どちらでも応対してくれた人がすこぶる親切で希望が湧いて出る。
その脚でエドワード・ノートンを観に映画『25時』へ。ずっと内容に乗り切れずエドワード・ノートンの素敵な姿を眺めていたが、最後の数分で突如感情が押し寄せ涙が湧いて出る。そうか! 監督はこれがやりたかったんだ!
最近、親子とか兄弟とか血縁モノに弱い。阪本順二監督『クラブ進駐軍〜この世の外へ』でも村上淳のピアニストと家出してはぐれた弟とのエピソードが一番ぐっと来た。
『25時』の後、うちの子供達が日頃お世話になっている方のご子息と愛犬をデッサンしに。少年だけでなく、犬たちがポーズをとりぢっと僕の目を見詰める。感情が押し寄せ、喜びが湧いて出る。
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