2002年3月21日、木曜。
薄い光をふくんだような風が西に向かって歩く僕の顔に当たるたびに冷たかったり、温かったり。アトリエへ向かう歩道にはコブシの白い花が満開で、行く道の気配がプラチナ。
その他、レンギョウのイエロ、雪柳の白などが、蘇鉄や松の和風のグリンと交じり合って道々立ち並ぶ洋館のパステルカラーを縁取って、特に今日のような薄日には通り全体が真珠光の散乱。
こんな日には闇から抜け出して、思いっ切り、色を発したい気分。朝から油彩で天使!天使!天使!
深夜アトリエから自宅へ戻る際には、陽気に誘われて歩道まで出てきた、タヌキや、キツネの目が闇の中で光っていたり、崖の上の藪からそれら野獣の奇声が聞こえたり、けっこうワイルド。
春分。闇と光と半分こ。
寺門孝之
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