Today's Terapika寺門孝之です。

Back Number 20020211

 

 2002年2月11日、月曜、祝日、晴レ、寒。

 昨日2月10日で齢(ヨワイ)「41」となりましたてらぴかです。これからの日々が「41」(よい)日々でありますように、気を引き締めて日々精進していきたいと思います。どうぞここへ御来縁の皆様、これからも末永くご贔屓に。

 今、アトリエに流れているのはブライアン・イーノ。久しぶりにイーノ・ブーム。特に、僕にとって一枚目のイーノ盤だった1977年の“Before and after Science”のアナログ盤を繰り返し繰り返し。なかでもB面3曲目の“BY THIS RIVER”は当時(高校生?)からずうっと、そしてまた今こその僕のテーマ曲。ああこの感じ、あのころも、いつも、そして今も、結局はこの感じ。

 僕とだれだかはこの川にさえぎられていて、僕たちはただ空の下に佇んでいて、空は落ちてくることはなくて、僕はずっと答えを待っている、なぜ僕たちは来たのか? いつも思い出し損ねる。だれだかは僕にすごく遠くから話しかけ、僕はまるで今じゃない感じで応える・・・

 まちがってるかもしれないけれど、僕はそんな感じだと思ってイーノの不思議な歌声(当時は歌ってもいたイーノ)と歌詞に耳を澄ましてきました。

 実は僕は1990年だったか雑誌の仕事でブライアン・イーノ氏本人にお会いしました。今その記事を読み返してみると、イーノ氏が今の僕への重要なヒントをくれている気がします。時空を超えて。ああ今の僕だったらもっともっと深くつっこんだ話を伺えたのにな、と思いつつ。

 でも大見出しが「僕の作品がみんなの生活の中で役に立てたら、本当に嬉しい」!で、最初の小見出しが「光と闇について〜闇の部分がない音楽はとても軟弱なものに聴こえる」っていうんだから、まさに今の僕とシンクロしてる感じ。イーノは1948年生まれらしいから、お会いしたときちょうど今の僕と同じ年齢だなあと思うと感慨も深い。

 30前の血気盛んだった僕はイーノ氏の静かでシンプルなメッセージの深さががわからず、記事にはなってないけれど、具体的な手法のことなどを伺って喜んでいた気がする。

 あれから12年。干支一周。興味のある方はここから。インターネットってほんとに便利。あの記事がちゃんとネット上にあるなんて。

http://members.tripod.co.jp/karkador/interview/90/90-11.htm

 そうそう『イラストレーション』誌の次に出る号で僕の小特集を組んでくれることになり、先日来、取材で僕自身の過去を振り返らされている。これまで、いつも僕は前に進むために、過去を切り捨て、封印するようなかたちで来たので、こんなふうに過去をぢっくり振りかえるのは初めて。

 たとえばデジタルの作品群、その数の多さにちょっと眩暈や吐き気がしました。でもそれらも間違い無く、僕の作品。今はむしろ、それぞれの時代に僕が熱中してきた世界を客観的に眺め、俯瞰してみる必要があるのかもしれないな、とも思って、いい機会を与えてもらったことを喜んでいます。この16日のチョイスのイベントでも、そのフリカエリの一端を発表するつもりです。1993年、神戸へ移る以前の僕を知らない方にはなかなか刺激的な内容になると思うのでぜひいらしてください。

 そんなこんなで、ココロは過去にとび、未来に飛びつつ、今は「闇の妹」シリーズに夢中なてらぴかです。

 絵に戻ります。

 from 寺門孝之

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