2001年11月16日、金曜、ハレ。
夕刻、神戸ファッション美術館で明日からオープンする日比野克彦さんの展覧会の内覧会っていうのに参会。日比野さんのデビュー(もう20年前!?)当時の作品から最新作まで、彼の軌跡を網羅する展示で見応えは充分。色色と考えさせられました。
特に、僕にとっては、僕が大学生後半、ああなんか今居る自分の場所が違うなあ〜と悩んでいた頃、東京でパンパカパ〜ンっていう感じで鮮烈に登場した日比野さんの当時の作品群は、僕に、やっぱり東京へ行って「絵」の勉強をしよう、したい!ゼガヒデモ!と決心させる引金となったので、今回それらの初期作品群と再会して、なんとも懐かしく、甘酸っぱいような、感情。
その後、僕にも日本グラフィック展の大賞が降って来て、日比野さんとも、時折、会う機会もあって。縁、というのか、例えば僕の新婚旅行先でなぜか合流して、フィレンツェのホテルのバーで落ち合って、ピサまで彼の運転でぶっとばしたり。僕の人生に時々、現れる。今日もひっさしぶりに再会。こづえさんとも。
え〜と、たくさんお知らせしたいことがあるような気がするが、なんだか今描いてる絵のことで頭いっぱいで、忘れがち。
え〜と。ひさしぶりに新聞にイラストレーション、描いています。朝日新聞の火曜の朝刊、先の14日分から、『歌人の時間』という家庭欄のコーナーに。郷隼人さんの歌とエッセイに線画を。来年1月くらいまで約10週の連載です。
実はこの仕事には嬉しい裏話があって、これまでその欄のイラストレーションを担当してたイラストレーターの伊波二郎さんが、担当記者に次期シリーズのイラストレーションは誰が良いかと問われ、僕を大推薦してくれたということなのです。
伊波二郎さんとの出会いはずいぶんと前のこと、僕が先述した日本グラフィック展で大賞を受賞してほとんど最初くらいの大仕事で、当時、新宿3丁目にあった丸井ヤング館の階段踊り場の壁画を依頼され、描いたのですが、そのとき別の階を担当してたのが伊波さん。
その名のとおり沖縄出身のナイスガイで、作業は主に工事が収まる深夜に及んだのですが、お互いの絵を見に行ったり来たり、なんか戦友って感じで作業を進めたのでした。
その後、あっという間に15年。僕はいつも自分の今の絵にばかり夢中で、まったくのご無沙汰だったのですが、こうしてずっと気に留めていてくれて、静かに応援してくれているなんて、感激。
その時の丸井の壁画では、そうそうもうひとり、板垣しゅんさんというイラストレーターの方ともいっしょでした。板垣さんもその後ぜんぜん会ってなくって無沙汰の限りをつくしている僕を憶えてくれていて、ときどき、たま〜に、たとえばイラストレーションファイルが出たりしたあとなんかに、突然電話をかけてきて「いい絵だねえ〜」なんて声をかけてくれる。
15年。あの数夜、工事途中の丸井の階段の踊り場で絵をこつこつと描いていたみんな、15年、ずっとこつこつ絵を描きつづけて、今も描いている。会わないけれど、年に一度、イラストレーションファイルなんかで、あ、描いてる描いてる、なんて思いつつ。
伊波さん、板垣さん、ありがとうです。僕は全然連絡しませんが、感謝しています。
え〜と…大阪展、明日明後日で終了です。最終日、日曜、午後3時〜行きます。どうぞぜひ。
from 寺門孝之
|