―広々とした真新しい教室、椅子や机はまだ入っていない。ワックスがひかれたばかりの、艶のある褐色の床に、一本の真新しい耳掻きが落ちている。真っ白い綿毛付き。突然、「僕は画家だ!」という直観に襲われる。
これは1993年3月7日、当時まだアトリエが東京・代官山にもあった頃の夢日記からの抜粋。おそらく、朝、目覚める直前に見た夢。
なぜ、こんな夢をいまさら書いてみたかというと、実は今朝、アトリエへ向かう道の途中、ふと足元を見ると、耳掻きが一本、落ちていたので。夢ではなくて現(うつつ)の道で。真新しくはなく、使い古された感じの耳掻きではありましたが、あっ、と前述の夢を思い出したのでした。そうして、そうそう、僕は画家だ…って確認。
「絵」に戻ります。
2001年9月24日、月曜、晴れ。from
寺門孝之
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