Today's Terapika寺門孝之です。

Back Number 20010119

 

 2000年1月19日、金曜、晴れ。やっぱり寒。

 ふ〜む悲しい。なんか悲しい。どしてか悲しい。なに見ても、なに聞いても、誰に会っても、メールもらっても書いても悲しい。帰ってきた霊魂たちが、今の神戸の惨状を、無念ぢゃ、無念ぢゃ、と帰るに帰れないで居るのか?なんだか居たたまれない感じの悲しさの滞在に巻き込まれて、その只中で、「絵」描いてます。描からいでかい!かい!許さんぞ!と怒ってみても悲しい色やねん(by上田正樹)。

 えんがわの方で、PIG’S HEADのCDを楽しみにしてくれる声援いただき嬉しいです。悲しいときはこんな詩でしょうか? 悲しい気持ちで書きました。つまるところ、結局はこんな詩のように悲しいのでしょうか?

 以下、詩、です。

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青い鳥々(あおいとりどり)

散々(チルチル)と満(ミチル)は兄(アニイ)と妹
手をつなぎ
駆ける
青いアスファルトの
ハイウェー

パタムタ!
兄妹の四つの頬から
飛び散る
鳥々の青い羽ばたきのむこう
魚々(ぎょぎょ)の星々(ほしぼし) 見護り

映写機の廻る音
曲がり角の円く凍るミラア
空っぽのビルディングの窓の中のスパーク
聖夜に響くレスター・ボウイのトランペット

みな、あの場所へ、つづいている

靴に刻まれるアスファルトに
ひきづるパールシルクのドレスのすそ
残される硝子のパンプス
ちぢれ舞うエンゼルヘアー・・・

晴レルヤ
光リや理科室やアヴェマリヤ
薄いジュースの教会のオルガン
迷子のパールタイム いまは粉雪が散っている 曲がり角の円いミラア
ノヴァーリスやオットー・ルンゲの切り絵のよこがお
大切で微量の絵ノ具
紅茶会の湯毛の虹
アコヤ貝の内に、さくら貝の爪先に

(空のローズ)遠くで ある人が 泣いている
(記憶のシェルズ)記憶だと思ってたものが
(光のデコレーション)思い出だと思ってたものが
(羽毛のアトモスフェア)今、ここにある
(意志のクリスタル)夢だと思ってたもの
(音のアエロ)幻想だと思ってたものが
(迷路のバルブ)たった今、真新しい服を着て
(心のフラッグ)目の前に立っている
(雲々のメモリー)幼いころの
(チルチルとミチルの青いハイウェー)全てを肯定する力が
(ラララ・・・)まっすぐに伸び上がる元気が
出し惜しみのない勇気が
心臓の中のフラッシュ・ライトが
今、ここに 寄せ 集まる
(ラララ・・・)亡くしたもの
失ったもの
とりかえしのつかなかったもの
去ったもの
消えたもの
置きざりにしたもの
手放したもの
(ラララ・・・)
思い描けなかったもの
見とどけられなかったもの
聞きのがした言葉
言わなかった言葉
歌われなかった歌
描かれなかった絵
(ラララ・・・)それら全て 今、ここに来てる

遠くを流れていく水
落ちてゆく水
舞い上がる水蒸気
飛び交う水鳥
残される石
けづられる岸・・・ 

危ない! 散々(チルチル)!
危ない! 満(ミチル)!
その先に道は無い
その先にもう道は無い

工事途中の、ち切れたハイウェーの、その突端で立ち止まる、
散々(チルチル)と 満(ミチル)の、二人の、四つの頬から、
青い鳥々のカケラが、幾羽(イクハネ)も、幾羽(イクハネ)も、飛び、散った
今、この瞬間
たった今、この瞬間
今ここの 0(ゼロ)から 飛び発つ
青い鳥々のはばたき
真珠光の散乱

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 from terapika ,so sad

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