Back Number 20000416

 

 2000年4月16日、日曜、晴れ。

 すごく気持ちの良い光が、画廊の窓からも覗けました。雨の日の後の光が大好きです。

 昨日は画廊の後、実家(僕が育ち、今も両親が住んでいる家)の方へ久し振りに帰ってきました。昨年より、どうしたことか両親が、「絵」を始めてしまい、せっせせっせと描いているのですが、僕が訪ねていくと、ずらりと床にそれらの絵を並べて、意見を求められます。で、今回久し振りに見たのですが、母親の絵が思いのほか良くなっていたのでびっくりしました。

 母はおもに花、植物を見てていねいに描いているのですが、真剣に対象を見詰め、懸命にそれを紙に写し取ろうとする素直さが画面全体から感じられ、上手いわけではありませんが、決して稚拙なわけでもなく、「絵」としてちゃんと立っているのです。僕はそういう絵を見るたび、また「てらこや」の生徒やファッション専門学校の学生達の絵、あるいはまた子供が描く絵の中に時折びっくりするような傑作を見つけるたび、心底嬉しくなります。

 「絵」は別に画家だけに下りて来るのではなく、「絵を真剣に描こうとする全ての真摯なココロにあまねく」下りて来るのだなぁ、とつくづく思います。そして「絵を描く真摯なココロ」とは、対象を見詰め、そこに何か、何でも、写したいと強く思うナニモノカに気付くココロなのです。絵を描くココロでもって、身の回りの世界を見渡せば、世界は、絵に描きたいものばかりで溢れかえっています。子供は、そんな世界をとうてい描かずには生きておれませんし、僕達大人だってそれは同様なのです。両親が真剣に絵に取り組んでる様子を見て、「絵」はやはり人が生きていくのに深く根ざしている本能のひとつなのだなぁと改めて思いました。そうして「絵」は「美術」であるよりも、「芸術」であるよりもまず、ただ、ただ「絵」なのだ、と思います。

 昨日の雨で、いっそう桜の花は葉に色を奪われていきましたが、それでも、山陽電車に乗っていると、同じ神戸でも桜の状態は地域によって随分と差があるものだと気付きます。今日、画廊で得た情報によると、さくらんぼの桜は、普通の桜より開花は早くて、桃と同じ頃に咲くそうです。ぢゃ、また明日。

 ずっと話題にしてた「青山墓地の幽霊」という1989年に桜を描いた僕の絵の写真が見つかったので下に貼っておきます。from terapika


耳そぎ饅頭

町田 康 ;著

マガジンハウス 定価:本体1500円(税別)


“ baby oil magic ”

場所 : 美術画廊ギャルリ・ムスタシュ(大阪・心斎橋)

日程 : 2000年4月7日〜2000年5月7日

(詳しくは、“てんらんかい”の“NEXT”でご覧下さい)


 
 
 

僕が看板・壁画など描いた店が
12月3日オープンしました。

Cafe Hahn Hof
(カフェ ハーンホフ)

神戸市中央区明石町32
tel :078−321−0415
(元町・大丸の南、フェラガモとか入ってる明海ビルの地下1階)

 
 

Days of Angels
天使のカレンダー

絵*寺門孝之 / 文*三枝克之

リトル・モア  ¥1500+税

全国書店にて10月上旬発売