桜の精
2000年4月12日、水曜、晴れ。
生田川にかかる橋から見る山に桜によるピンクの模様ができてキレイ。橋を渡る際、思わずうっとり立ち止まります。
桜の絵というのは、僕はそれほどたくさんは描いてないのですが、でもわりと桜の雰囲気を描くのは得意、モティフのひとつではあります。というのも、かなり以前、桜とぴぴぴ、と繋がった経験があるのです。
あれは12年くらい前の今時分だったか、当時、東京在住だった僕は誘われて青山墓地へ夜の花見へ行きました。夜の散歩が大好きだった僕は何人か友人と、人の群れを離れて、夜の墓地を歩き回りました。満開の桜は、夜に青白く光って、凄いほどの美しさ、妖しさでした。人気のないところにとりわけ素晴らしい枝振りの桜が並ぶ一帯に迷い込み、そこの桜は花枝がずいぶん低い位置にまであったため視界が青白い光で溢れていました。そこで、僕は、一人の少女の気配を強く感じて、背筋に蟻走感が走りました。それは、10代前半くらいかなと思われる、白人の少女の気配でした。見えたわけではないのですが、その存在は明確な事実感を持って僕に残りました。
僕は、アパートに帰って、彼女の絵を描いて見たのですが、かなりその気配に近い感じが絵として残りました。その絵は「青山墓地の幽霊」というタイトルで、「かごめドリーム・カメ」に収録されています。その時は幽霊、かと思っていましたが、今、あの夜をありありと思い出してみるに、案外、桜の精というのはああした洋装の気配なのかもしれないな、と思い返しました。今、ちょっと手元に写真がないのですが、見つかったら、懐かしいので下に貼ろうと思います。今回の展覧会にも、桜を久し振りに描いた「sakura
magic」という子供の絵があります。こちらは、幽霊の絵ではないのでご安心ください。
ではまた明日。from
terapika
耳そぎ饅頭
町田 康 ;著
マガジンハウス 定価:本体1500円(税別)
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baby oil magic ”
場所 : 美術画廊ギャルリ・ムスタシュ(大阪・心斎橋)
日程 : 2000年4月7日〜2000年5月7日
(詳しくは、“てんらんかい”の“NEXT”でご覧下さい)
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