2000年3月6日、月曜、薄い日が春めく。
今日も日がな一日、油彩に筆を入れ、カンバスに下地を塗り返し、そんなことを淡々とつづけていました。ので、特にこれといったnewsがありません。ので、以前、美術手帖(BT)に連載させていただいていた“てらぴかの夢”という実際に見た夢の記録から、今時分の季節に見た夢を転載しておきます。
★ いい時代のおっちゃん ★
いい時代には、世にエリートなどと呼ばれるようなサラリーマンなら誰しも、身だしなみとして専属のおっちゃんを雇っていたものである。
会社の帰りや昼休みなどに、行きつけの喫茶店の辺りで待っているおっちゃんに小遣いを渡し、自分は茶店でゆっくり時間を潰す。おっちゃんは渡された現金を資本に、パチンコ屋で腕をふるう。色んなジャンルのジャンルのおっちゃんがいたが、主流はパチプロだった。サラリーマンがコーヒー一杯をゆっくり頂いているくらいの時間にたちまちのうちに元金の三倍、四倍を稼ぎ出すとおっちゃんは雇い主の待つ喫茶店へ入り、上がりをそっくりサラリーマンに渡す。サラリーマンはその半分を受け取り、半分をおっちゃんに渡し、おっちゃんにコーヒー(もちろんおっちゃんの好み次第で紅茶やココア、その他のこともあるのだが)をご馳走し、自分もおかわりを頼む。
しばらくの時間、おっちゃんとサラリーマンは会話を愉しむ。おっちゃんはサラリーマンが窺い知れぬ街のニュースや秘密を語り、サラリーマンは会社での仕事の成り行きなどを語る。コーヒー(等)が終わると同時に立ち上がり、勘定はサラリーマンが持ち、二人は喫茶店を出ると右と左に別れて行く。
こうした光景はかつてごく日常的に見られたものだが、今は悪い時代なので、サラリーマンがおっちゃんを雇うこともめったになくなった。今日、夕刻の慌しい街角で、珍しくおっちゃんに小遣いを渡して喫茶店に入る初老の紳士を見かけ、急にそんなことを思い出した。(1996年3月13日の夢より)
・・・しかし、夢の中の僕が有している記憶とは、いったい、何を根拠としているのだろう? 不思議・・・
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