2000年3月2日、木曜、晴れ。
朝は寒かったけれど、午後から急に空気の中にたっぷり春が入ってきました。何か、心の底の方から、うずうずと湧きあがってくるような、宵です。
今年最初の展覧会“baby oil magic”のダイレクトメールにしようと思っている作品の複写ができたので、さっそくこの下(茶室の下です)に貼っときます。どうです? かわいいでしょう! な〜んて・・・
さて、毎日いいお天気つづきで、どうやらここ数日の気候は油彩にはもってこいの日和のようです。ペタペタと絵の具を塗りたくって、次の朝にはちょうどいい塩梅に乾いていて、次の一手にすぐ取り掛かれる。あまり暑くても、湿気が多くても、そしてあまり寒くても、油絵の具の具合はあまりよろしくないので、今このチャンスを逃さず、たっぷり仕込みをしとこうというところ。仕上は、展覧会直前の最もテンションが上がってるときにとっておいた方が出来が良くなるかもしれないので、とりあえず、今は仕込みをたくさんしておきます。
モティフは、子供だけぢゃもちろんなくって、色っぽい女の人達や、花や、風景、もちろん天使や人魚、それから油では初めてイルカにもチャレンジしてみようかな。水を媒体とするアクリル水彩に比べて、油絵の具での作業は、絵にどんどん「気持ち」が浸透していくような気がします。だからうっかりすると、こてこてと、気持ちたっぷりの濃いい絵になってしまう。僕はそういう油彩画はあまり好きぢゃないので、ぎりぎりいい塩梅のところで、寸止め、にして、日本人にも気持ちいい「薄さ」を保持したいのですが、その加減が難しい。油絵の具をカンバスにナイフで塗りたくる作業には、ケーキにクリームを塗るような甘い快感と、あの特有のオイルの匂いのせいか、中毒性があっていつまでやってても愉しいので、止めるのが大変なのです。それでついつい思うより過剰に画面をいじり過ぎてしまうのです。あくまでもモティフの具体性を大切にしたまま、まるで水彩画のような、清潔な居合ヌキのような瞬間っぽさと、日本画のような薄い平面性、それと油彩特有のねっとりとした即物っぽさ、物(ブツ)の色気、時間の堆積、意識の持続…そんな矛盾した要素がカンバスの上であっけらかんと混血して、ただたんに、キレイでカワイイ、と一目瞭然な、そのような絵をめざしているのですが、どんなことになっていくのやら。日々、瞬間瞬間が発明です。
ぢゃ、また明日。
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