2000年1月19日、水曜、晴れてましたが夜には霧雨が冷たく降っています。
今日は芦屋に、畏友・東野健一さんの展覧会を見に伺いました。東野さんは、神戸の方ならご存知と思いますが、画家であり、また自作の絵巻物を巻き取りながら物語を語る、インド式紙芝居師・ポトゥアとして世界を行脚している大道芸人でもあります。
僕は震災直前の1994年の12月に初めて出遭い、その強烈なパワーと、なんともいえない深い魅力に取りつかれて、翌1995年2月に博多で開催予定だった僕の大規模な展覧会にぜひゲスト出演して欲しいとお願いしたのでした。快く引き受けてくれた東野さんは、大震災でアトリエが大破し移動もままならぬ2月に予定通り、博多へ駆けつけてくれ、物凄いパワーで観客を不思議な物語世界へ巻き込んでくれたのでした。
そのショーは「ツルカメエンジェルショー」というタイトルで、演出に白虎社を解散したばかりの大須賀勇氏を迎え、同じく白虎社の蛭田早苗さんが踊り、周防義和さん率いる楽団ブリューブリューの生演奏、エンジェルドリーマーズたちの踊りとパフォーマンス、東野さんと博多の女の子達による巨大紙芝居、僕のライヴペインティングと、大須賀さんとのトークなどを織り交ぜて、俳優・池田成志くんの司会でお送りした、今思い返しても、夢としか思えない、物凄いゴッタニ・イベントだったのです。今後も、二度と一同に集まることは不可能と思われる贅沢なメンバーによる不思議なショー。僕は、地震には堪えられたけど、このショーの後、意識を失ったというイワク付きの2夜でした。
その後も東野さんは、僕と家族がしばらく住んでいた東京の家に泊まりにきてくれたり、神戸に戻ってからも、時々会って、会うたびに、ようし、僕もがんばらなきゃ、と気合を入れ直してくれる神戸では数少ない友人のひとりなのです。
今日も会場に接近すると、もうあの大声が響き渡っていました。紙芝居の最中のようでした。僕がこっそり後ろの方からのぞいていると、「さあ、今、おもろい人が来たでえ、みんなも知ってるやろお、寺門はんや、」と大声で紙芝居に集まっていた皆さんに紹介してくれました。大きな身体、大きな声からは想像できないほどの繊細な線画も描いたりして、料理はプロ以上、なにを訊いても凄いコタエが返って来る、謎の男、大人(タイジン)です。そのうち、奴凧にも登場してもらいましょう。今日、しっかりデッサンさせてもらったし。傑作です。
ところで、今、1月17日のデッサンを整理してコンピューターに入れようとしてるところですが、リストに漏れがあったようで、76人ぢゃなくて77人でした。ゾロ目になって嬉しいな、なんか。
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