Back Number 19991217
12月17日、金曜、うすはれ。 えんがわの方で「天使のカレンダー」の相方・三枝克之さんが以前に作られた『空の名前』のことが度々話題になっています。今日はそのことについてちょっと書いてみます。 空を見上げて、珍しい様子の雲を見た時、あるいは娘から「うろこ雲」と「いわし雲」と「ひつじ雲」の違いを訊かれた時、とりあえず僕なら『空の名前』の頁をめくります。おそらく皆さんの多くもそうぢゃありませんか?子供用の図鑑では物足りず、専門書は持ってないし難解すぎるし、写真集には言葉が無く、歳時記には写真が無く…、ところが僕達にとって見上げる空の様子は、科学だけでなく、文学だけでもなく、この国の空を見上げつづけてきた無数の人々の記憶とあいまって、今見上げてる僕にとても「ゆたかな」ものを感じさせてくれます。その「ゆたかさ」は「空」そのものの壮大な「ゆたかさ」とその空に対して様々な言葉を思いついた人々のつつましやかな「ゆたかさ」の間にあるのでしょう。だからこそ「空」の「名前」。今のところ、そしておそらくこれからもずっと、僕らが日々空を見上げるときに、ほんとうに頼りになるのはこの『空の名前』しかありません。 版元の光琳社出版が倒産して手に入らなくなってたこの本が角川書店から再出版せれることになったのは、これからも日本の空を見上げつづける僕達にとっては嬉しいニュースです。 が、僕としてはとても残念な事実もあることを書き添えておきましょう。 この『空の名前』、それに続く『宙の名前』『色々な色』の三部作は、それぞれ著者の方がおられるわけですが、この本の発想・形・編集作業は全て三枝克之さんが担ったもので、ありていにいえば、三枝さんが発明し育んだ本達なのです。光琳社から出ていた本には編集者として三枝克之の名が、著者あとがきやクレジットに表記されています。ところが、出版社もかわり新しく出る本には三枝さんの名前は記されてないかもしれません。いろいろ、僕からすれば腹立たしいとしかいいようのない事情があったようで、そのことで三枝さんは本当に辛く悲しい日々を過ごしてこられました。そりゃそうでしょう、自分が天塩にかけて大切に大切に育て上げた子供を取り上げられて会うこともままならなくさせられるようなもんですもの。 せめて、この“てらぴかのえんがわ”を訪れて下さっている皆さんには、ぜひ、『空の名前』『宙の名前』『色々な色』の発明者が三枝克之さんであることを忘れないでいて欲しいと思います。そうして、これからも日々、発明をつづけていかれるだろう三枝さんに、応援の拍手を。 そして、三枝さん、 コノオトシマエハ |
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「開運・銀座だるま祭」’99年末チャリティー企画 11月30日〜12月24日 クリエイションギャラリーG8 http://www.acara.com/GG/1999/g8-9912.html ( click !) |
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僕が看板・壁画など描いた店が Cafe Hahn Hof 神戸市中央区明石町32 |
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Days of Angels 絵*寺門孝之 / 文*三枝克之 リトル・モア ¥1500+税 全国書店にて10月上旬発売 |
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