1989年だから、もう10年ほど前、東京・原宿のラフォーレミュージアムエスパスという場所で、僕にとって初めての大規模な展覧会を開いていただきました。
そのオープニングレセプションで、たくさんのお客さんを前に挨拶をしなくてはならなかったのですが、いったい何を言えばよいのか、前の晩さんざんアタマを絞りましたが、ノーアイディア。
で、当日、朝から美容室に行って、髪を切ってもらいながら、うすらぼんやーりとしているとき、ふと、そうだ、キーワードは「縁」だ! とひらめいたのです。そして、その夜のパーティで、僕は「縁」についてしゃべりました。
「良縁、悪縁、くされ縁、縁にも色々あるけれど、この展覧会にはそんな僕の全ての縁が投入されてあります。今この時、この場所に至る全ての縁に感謝するとともに、願わくば、これからも、全ての縁を絵に結び付けて、絵を描きつづけられたら、と思います」というようなことだったように覚えています。
そして、それから10年、なんか、そのとおりに来ているなあ、と今日、内装工事中の美容室で壁画を描かせてもらいながら、と思い出していました。日々過ごす中で、僕に、生まれたり、消えたりする「縁」。今でも、やはり全く同じことを思っています。全ての「縁」を活性化させて、「絵」を生み出すこと、「縁」を「絵」の炎で焼き尽くすこと・・・ この“てらぴかのえんがわ”も、その名のとおり、「縁側」です。この「縁側」からも、「絵」がたくさん、生まれていくのでしょうか? 「絵」は炎・・・、「縁」は炭(燃料)・・・。
ようこそ“てらぴかの「縁」がわ」へ、9月16日、木曜、曇りときどき小雨、明日も壁画です。
from 寺門孝之
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