突然、僕は何もない暗い空間に一人立っている。左後方に何か明るいものがある。何だろう?
振り返ると、ギラギラ輝く金色の金属のヤグラのような塔があり、その先端に紡錘形の光る部分があるのが見えた。と、思う間に塔は僕のすぐ近くまで接近してきている。
先端のその光は明るくまぶしいが、色が黄ばんで夜店の灯りのように懐かしい。塔がしゃべる。(低い男声、塔に人がいるのではなく、塔そのものがしゃべっているらしい)
「ワタシハオマエノ疑問ヲ全テチェックシテイル塔ダ」
僕は、ああ、こういう塔があるんだと深く納得する。
(1987年6月12日、東京・阿佐ヶ谷)
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