あるグループ展のメンバーで軽井沢のような場所にある家で合宿している。
みんなで近くのプールに泳ぎに行った後、家に帰って来て二階に上がると座敷の中央にこんもりとした黒土の山がある。黒土には白い骨が混ざっているようだ。その山にシェパードと秋田犬の混血のような大きな犬が、顔、四肢、尾を土から出して埋まっていた。死んでいるらしい。
次の朝、そのニ階の座敷でみんなそろって食事している。黒土の山はすっかり片付けられ、犬は鍋物にされた。それをみんなで食べている。みんなでその犬のことをしゃべっていた。
犬は名を九郎(くろう)といって、19才の老犬。老いてからこの家にもらわれてきたとのこと。この地方では愛犬が死ぬと鍋にして食べる習慣があるらしい。犬の肉は少しも臭くなく、清らかでおいしい。
(1990年8月15日、東京・代官山)
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