京都では昨日の雨で桜の蕾が一気に膨らんだようです。
公園の木々がなんとなくピンクを帯びてきました。
僕は、桜は、今ぐらいの時期の咲くか咲かないかの頃から
5分咲きぐらいの状態までが見ごろだと思っています。
気分的にも「さあこれから」といった感じがして、わくわくするのと、
実際に色的にも、蕾の濃いピンクと花びらの淡いピンクの混ざり具合のうつろいが
とても美しいと思うのです。
8分咲きになると、「もうじき散ってしまうのかー」と
寂しさの方ばかりを感じてしまいます。
その寂しさが桜の魅力という人も多いようですが・・・。
去年までは桜で有名な哲学の道から50mのところに住んでたので、
毎日犬の散歩がてら哲学の道の桜の開花状況をチェックしてました。
(よく考えるとうちの犬は毎日「日本の道100選」で
ウンチやオシッコをしてたわけです。)
去年なら、このコーナーで京都・哲学の道の桜の開花情報を流せたんですけどねえ。
<茶話その5 旧暦>
今朝の新聞にとてもうれしい記事を見つけました。
小さい記事だったので気付いた方は少ないかも知れませんが、
カレンダーの暦法を10年後の2010年から、
現在の太陽暦から、明治5年まで使っていた旧暦(太陽太陰暦)に戻す、
との政府方針が決まったそうです。
明治6年の改暦の時は、長年(約1200年)慣れ親しんだ暦から
わずか1ヶ月足らずで無理矢理に西洋の見知らぬ暦に変更されたので、
人々は大混乱したらしいのですが、
今度は10年の準備期間があるので、
その間に旧暦のことを勉強していけば、さほど混乱することもないはずです。
そもそも旧暦の方が日本の季節感に則したものなので、
慣れさえすれば、日本人の気分にはピッタリくるはずです。
暦というのは天文科学なので、簡単そうでいてとても難しい話になるのですが、
ご存じない方の為にごく簡単に説明すると、
現在の太陽暦はもちろんその名のごとく太陽の動きをもとに作った暦で、
旧暦は月(お月さま)の満ち欠けの周期をもとに作った暦です。
新月の日が毎月の1日(ついたち)で、十五夜満月が15日になるというわけです。
ただし単純にそれだけだとイスラムの太陰暦みたいに1年が355日ぐらいで終ってしまい、
季節のめぐりと徐々にずれてきてしまいます。
そのため、うるう月というのを3年に1度もうけて
太陽の1年の動きにも対応するよう調整したのが、旧暦です。
太陽太陰暦と言う名はここから来ています。
旧暦になるということは、平たく言えば
お日さまだけを見る生活から、
お月さまとお日さまを両方見る生活になるということです。
より<神話性>が取り戻せそうですね。
とにかくこの旧暦に戻ると何がいいかと言うと、
月を毎晩見ていれば、今日が何日か、今が何時ぐらいかがわかるということです。
人間たるものカレンダーや時計を見なくとも
月の出の時刻や月の形の変化から、
今日が何日か、今が何時かがわかるぐらいの知性は必要です。
それができないのは生物としてあまりに情けないことだと、
僕はかねてから思っていました。
それから、季節感が取り戻せるのもいいですね。
3月3日お雛祭りは桃の節句といいながら、
その頃には庭の桃の花は蕾もついておらず、
4月4日のニューハーフの節句の頃に咲くのを不思議に思っていた人もいると思います。
旧暦だと3月3日は、今の新暦の3月末から4月初旬になります。
だとするとちょうど桃の花の咲く時期、つまり今ごろです。
これからはもう花屋さんも、無理矢理に桃の花を早く咲かせる必要はありません。
また五月雨(さみだれ)の五月も、旧暦5月つまり新暦の6月頃に当たるので、
ぴったり、梅雨を意味する言葉へと戻ります。
「五月雨を集めてはやし最上川」なんて5月の五月晴れの青空見てても
イメージできませんものね。
あ、だいたいその五月晴れも本当は「梅雨の晴れ間」の意味だったのが、
今の季節感と合わないから、いつの間にか意味が変わってしまった言葉です。
そして僕が今の暦で何より許せなかったのが、七夕の日に雨ばかりだったこと。
7月7日の七夕は本来は旧暦7月7日、つまり今の8月上旬の頃の行事でした。
なのにそれを新暦にしちゃうと梅雨の真っ最中。
夜空を見ても天の川はおろか、雲ばかりで星一つ見えない年ばかりです。
ただでさえ年に一度のことなのに、こう毎年天気が悪くては、
いったいいつ織り姫と彦星はデートできるのだろう、
と子ども心に心配していました。
でもこれで安心。夏の夜の銀河を楽しむことができそうです。
ま、気にかかるのは、長年親しんできた自分の誕生日がいつになるのだろう?
もしかして今まで占いで告げられていた自分の運勢も変わるのだろうか?
といったことですが、それもまた新しい人生が始まるようで、
楽しみが増えるということかもしれません。
ちなみに僕は1964年2月28日生まれですが、
旧暦だと1964年1月16日生まれです。
今日はこんなところでお開きです。
どうも粗末さまでした。
それではまた近々に。
そうそう、言い忘れてました。
今日の飲み物はギリシャの蒸留酒ウゾです。
フランスのパスティスやトルコのラクといっしょで、
見た目は透明ですが、水で割ると白く濁ります。
2000年4月1日
三枝克之
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