tuliplipMさんが書いてくださったように
今宵は旧暦の九月十三日、
十三夜です。
後の月(のちのつき)ともいわれ、
旧暦八月十五日の仲秋の名月と並ぶ
古来からの名月の夜です。
今年は十五夜がほぼ全国的に天気が悪くて拝めなかったですが、
十三夜はどうでしょう?
京都は朝から秋晴れ、
夕方からちょっと雲が出て心配しましたが、
宵の口には東山の空に
少しだけまだ欠けている月が美しいその姿を見せてくれました。
仲秋の名月を芋名月というのに対し、
この十三夜の後の月を栗名月というそうです。
<えんがわ>で書いたガーネット(ザクロ石)もそうですが、
誰がつけたのか知りませんけど、
このネーミングもうまくしたものです。
果たして名付けた人は、
ちょうど栗の実のおいしい時期だからそうつけたのでしょうか?、
それとも、十三夜の月の形が栗の実の形みたいだからつけたのでしょうか?、
あるいは、月の出の色が栗キントンの色みたいだからつけたのでしょうか?
きっと、そのどの意味も合わせてつけたんでしょうね。
素晴らしいコピーライターだ。
そんなことを思いながら月の出を眺めました。
そして月が天心に差しかかってから
お月見がてら夜の散歩に出かけました。
昨日の雨のあとで金木犀の匂いはまたいっそう甘くなった気がします。
夜気の中で嗅ぐ金木犀の匂い、これがまた趣深いものです。
よく昔の文人歌人などはその同人誌にちなんで
<アララギ派>とか<白樺派>とか<明星派>とか呼ばれましたが、
僕が詩とか書くなら<金木犀派>と呼ばれるのがいいかな?
単にその名前の響きだけで言ってるんですけど・・・。
『金木犀』という同人誌があったら、
ロマンティックでノスタルジックでルナティックなのを書いて
投稿して、<金木犀派>と自称することにしよう。
ところで月と金木犀(木犀)もとても縁が深いものがあります。
中国の民話では、ある貧乏な男が大雨の翌日、
月の計らいで突然庭に生えてきた、
切っても切ってもすぐにまたいい香りの花を咲かせる
不思議な木犀の木で大儲けをしたものの、欲が深すぎて月の怒りを買い、
その木犀の木ごと月に飛ばされたという話があります。
(すごい端折って書いててスイマセン)
男は今も月でこの木犀の木を切り続けているそうです。
そして時々その木犀の葉っぱが月から地球に落ちてきて
それを拾った人は何でも望みが叶うといわれています。
そんなわけで、金木犀の季節と十三夜の名月が偶然重なった今年は
ちょっとチャンスかもしれない、
しかも昨日の大雨の後だし・・・そう思って、
僕はいそいそ夜の散歩に出たのですが、
残念ながらそれらしい葉っぱは見つかりませんでした。
でも気のせいか、立ちこめる金木犀の甘い匂いの中に
月の木犀の香りもほのかにまじっていたように思います・・・。
今日も二服ほど飲んでしまったかもしれません。
ではではまた。
茶を!
三枝克之
蛇足ですが、関西では、<十三夜>は清清しいですが、
<十三の夜>だと途端に猥雑な雰囲気が漂います。
でもそちらの雰囲気も結構好きです、僕は。
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