*ファッションの流れについて*
今回は「ファッションの流れ」について話していこうと思っていますが、僕の言うファッションの流れとは、既成服が作られ、皆さんがそれを身につけるまでの流れの事です。ここではその流れを皆さんと一緒に、チャコットだけ広く見て行きたいと思います。今回は「小銀杏ファッション小旅行〜服のタビ」をお送り致します。ごゆっくりどうぞ…。
まず既製服を手に入れるもっともシンプルな流れ(タビ)は
(1):
「服屋さんに行く」
→「購入する」
という形になるのではないでしょうか。
また、そのお店にたまたま立ち寄って、気に入ったものがあったために購入した、ということもよくあると思いますが、ここでは雑誌を見て気に入ったものがあり、そのメーカーの小売店に買いに行ったとしましょう。するとその流れは
(2):
「雑誌に載せる」
→「読者が読む」
→「気に入った服を見つける」
→「服屋さんに行く」
→「購入する」
という流れに変わります。
これよりもまだ少し広く見ようと思うと、「コレクション」のことも考えなければいけないので、コレクションの流れについてもおおまかに紹介します。
コレクションとは平たく言うと「発表会、展示会」のことです。大手有名メーカーは、シーズンごとにファッションショー形式でコレクションを行います。それ以外のメーカーでも、小さなショーを開いたり、マネキンに商品を着させたりして、「発表会、展示会」としています。しかしこの場合には、プレス(広報や販促の窓口担当者)に発表するのが主で、一般の人にとっては関わりが薄いのです。ファッションショーとは新しい作品(洋服、和服、その他の服飾品、これに並んでモデルのメイクやヘアーアタイルも発表されます)をモデルに着せて見せ、宣伝したり注文をとったりする展示方法で、有名なコレクションにはそれなりのプレスもやってきます。ファッションショーの写真を雑誌で見たときに、最前列に座っている人達はこういう人達がほとんどです。そこで新しい作品を気に入ってもらえると、宣伝してもらえたり、注文を受けられたり、雑誌に掲載してもらえたりするのですが、今回は一例として、「メーカーが雑誌に掲載してもらう」という形を考えてみます(もちろんメーカーとしては雑誌に掲載してもらう以外にも、テレビやドラマでタレントに着てもらったりなど、色々な手段があります)。
そういう事で
(3):
「メーカーがコレクションを発表する」
→「雑誌に載せる又は載せてもらう」
→「読者が読む」
→「気に入った服を見つける」
→「服屋さんに行く」
→「購入する」
という流れになります。
では、「メーカーがコレクションを発表する」前はどうなっているのでしょうか? 単刀直入に言えば、「流行するモノ」を作ってしまうのです。じゃあ、「流行するモノ」はどういう流れで作られているのでしょうか?
ここ日本では、まず、JAFCA(ジャフカ=Japan
Fashion Color Association・日本流行色協会)が「JAFCAカラー」と「JAFCAアセンディングカラー」というものを発表します。「JAFCAカラー」とは年2回発表される毎シーズンのテーマカラーで、「JAFCAアセンディングカラー」とは今シーズンに注目されるであろう色を再選定されたものです。その色を基に繊維メーカーが繊維を作り、織物メーカーは布地を作り、それをパターンメーカー(注)が見て工場に縫製を頼む、という流れで既製服は作られていきます。つまり、このような綿密な計画に基づいた経路を通過するうちに、「流行するモノ」が着実にお膳立てされて行くのです。ここでやっと全体が見えてきます。
(4):
「流行色を設定」
→「繊維メーカーが繊維を作る」
→「織物メーカーが布地を作る」
→「アパレルメーカーが服を作る」
→「メーカーがコレクションを発表する」
→「雑誌に載せる又は載せてもらう」
→「読者が読む」
→「気に入った服を見つける」
→「服屋さんに行く」
→「購入する」
という流れになり、終着駅「皆さんの洋服ダンス」に到着という事になります。他にも色々な経路(旅路)があるとは思いますが、大方はこの路になっているのではないでしょうか。デザイナーの名前が付いていて、デザイナーの個性を前面に打ち出している(と言われている)「デザイナーズブランド」なども人気がありますが、こういうものも、少なからずこの路の影響を受けて歩かされているのです。
それにつけても、デザイナーすら個性を出しにくいこの「ファッション界」の恐ろしさよ…。プロでさえ個性を出しにくいのに、素人が個性を出すのにファッションを使う事が出来るのでしょうか? 僕はこの路の存在を知ってから、いち早く「ファッション列車」から飛び降りました。以後は、それなりの、僕なりの路にのってタビを続けています。そこの貴方、一緒に僕のタビに参加しませんか? 参加者、随時募集中です。 *アラナミ・オオカゼ・ヒノクルマ* 楽なタビではありませんが、僕は心から楽しんでいます。
それでは今回はこのあたりで失礼致します。又の登場まで…。小銀杏でした。
(注)…パターンメーカーとは、デザイナーの描いたデザイン画を基に型紙を描く人のことを言います。どのような布地で作るべきかも彼らが決めます。アパレルの事を考える時、何につけてもデザイナーが重要視されがちですが、アパレル業界も他業種と同様、分業で仕事が進められています。例外もありますが、プレタポルテのデザイナーはデザインだけを、つまりデザイン画を描いているだけな訳で、デザインルームで一番大変なのは実はパターンメーカーなのです。日本ではそうではありませんが、ヨーロッパではパターンメーカーも、その地位を高く認められています。
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